ヨーロッパのピアノはなぜ高いのか
高価な理由
ヨーロッパのピアノ、とりわけグランドピアノは確かに高価ですが、考えてみるといわゆる名器とよばれるピアノと量産メーカーとでは、そもそもピアノづくりの思想というか、出発点が違うような気がします。
まず、その生産台数がまったく違います。熟練した技術者が、1台1台手作りで仕上げるヨーロッパのメーカーでは、1日にせいぜい10台前後しか製造されません。一方、日本や韓国などの量産メーカーは、同じく1日に100台から200台のピアノを生産します。ヨーロッパのメーカーに言わせれば、最良の素材、とりわけ響鳴板だけでも、品質にこだわれば大量生産など不可能だと言い切ります。
次に、価格の決定方法が全く違います。ピアノが発明されて約300年になり、いわゆる現代のピアノにちかい様式になってからでもすでに200年ぐらい経ちます。つまり、技術的には、かなり成熟した製品であり、どういう材料を使い、どのように加工し、どう組立て、どう調整すればよいピアノができるというノーハウは、出尽くしているといっても過言ではないでしょう。
いわゆる名器と呼ばれるピアノは、そのようなノーハウ、つまり最良の素材、最高の技術、信じられないような長い時間のすべてを投入し、製品を完成させます。その結果、ピアノの値段がいくらになりましたというのが、ヨーロッパ流のピアノづくりの考え方なのです。
一方、いわゆる量産ピアノは、まったくその逆で、まず市場で売りやすい価格を算出し販売価格を決めます。それを前提に製造コストを算出し、その範囲内で素材を選び、工法を決め、許される製造時間を決定します。
この根本的な違いが、価格の差に反映するのは、むしろ当然のことでしょう。
それにしても、高いですね。
高いだけではない
このように、欧州のピアノは高いのですが、まず、量産ピアノと比べてその耐久性は2,3倍は、あるでしょう。一般に、有名な量産ピアノでも、4,50年が限界とされています。欧州ピアノの場合、百年以上前のピアノが流通し、使用されています。むしろ古い方がよいとされる場合もあり、
商品価値も極端に低下しないのが特長です。
さらに、耐久性の差はもとより、ピアノを愛する方にとって、一番大切なのは、何よりもよいピアノの音に包まれる満足感のはずです。この点で、ご自分の好みに合ったピアノが弾けることは、至上の喜びであり、高いか安いかにだけこだわっていたのでは、その喜びは得られません。
量産ピアノを、より満足の行くピアノを求めて、何度も買い換えられる方がいます。ふところ深い、包容力のあるいいピアノにめぐり合えれば、長い人生の友として、一生付き合うことができます。選択肢を広げて、ヨーロッパのピアノに触れられてみてはいかがでしょうか。
追記
ヨーロッパのピアノが高いとは言っても、アップライトでは多少事情が違います。性能や音色やデザインに、ちょっとこだわって国産のメーカーのカタログを見ると、80万円から110万円程度の価格が当たりまえのようです。一方、ヨーロッパのピアノは、ドイツやフランスのメーカーの場合150万円位から準備されており、ダークホース的な存在であるチェコのペトロフピアノの場合、輸入元希望小売価格はともかく、実売価格では80万円台からお求めいただけるようになっているようです。 従って、グランドピアノの場合と比較すると、かならずしも高価とはいえないわけです。その背景には、二つの事情があります。
第一に、国産のアップライトピアノが国内需要の行き詰まりによる生産台数の極端な落ち込みと、コストの高騰を背景に、度重なる値上げをやむなくされてきたこと。
第二には、ヨーロッパにおいては、ユーロ圏の拡大により、、各メーカーともマーケットを拡大し、また、東欧の比較的安価な労働力を生かして、コストの安い部材を調達するなど、低価格帯の商材の供給に努力を傾注するようになってきております。
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